眞邊明人の同名小説を、『テルマエ・ロマエ』『翔んで埼玉』の武内秀樹監督が映画化した作品です。
世界中が世も末と思うコロナ禍の2020年の日本。官邸でクラスターが蔓延し、総理大臣がコロナで急死した。危機に直面した政府は最後の手段として、日本の数ある歴史上の偉人たちをAIホログラムで復活させて、最強の内閣を作るという破天荒な計画を実施した。江戸幕府を作った徳川家康(野村萬斎)を総理大臣に据え、楽市楽座を作った織田信長(GACKT)を経産大臣に、農民から太閤になった成り上がり者の豊臣秀吉(竹中直人)を財務大臣に、十七条憲法を発布した聖徳太子(長井短)を法務大臣に、『源氏物語』の女流作家の紫式部(観月ありさ)を文科大臣に、仲の悪い薩長をまとめた坂本龍馬(赤楚衛二)が官房長官など、得意の業績ある歴史上の人物がずらりと並ぶ夢のような内閣が編成された。その圧倒的なカリスマ性と実行力に日本中が熱狂する中、新人のテレビ局員の西村理沙(浜辺美波)は局長の命令でスクープを狙い、政府のスポークスマンを務める坂本龍馬に接近していくが、特ダネ以上の各大臣の精神の矜持に触れ、現代の日本人が忘れた日本の誇る高潔な魂のあり方を学んでいく。熱中するが冷めやすい他人任せの現代の日本人の大衆性を憂う、徳川家康や坂本龍馬たちの偉人の薫陶を受け、理沙は成長していくが、ある計画が進行して内閣を破壊させる出来事に遭遇する・・・。
日本が誇る歴史上の偉人たちをAIホログラムで、現代の日本に降臨させるという破天荒なナンセンスコメディのこの作品は、作り方を一歩誤れば見るに堪えない駄作に陥る危険性があるかもしれないと危惧して見たのですが、武内秀樹監督と徳永友一の脚本はナンセンスに徹しながら、今のわが身を振り返させる内容に仕上げているのです。ナンセンスのみ出来る心を打つ新たな作品となっているのです!!
ぼくのチケット代は、2400円出してもいい作品でした。
星印は、4ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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