ミュージックビデオなどの映像制作を数多く作ってきた、こささりょうまが監督した作品です。この映画の撮影場所はゲストハウスの聖地として、世界中の宿泊者を迎えている「toco」のハウス内で撮影されているのです。
オリンピックが開催された2021年の東京。ゲストハウス「ココ」で住み込みのアルバイトとして働いている詩子(山本奈衣瑠)は、オーナーで日本中を古びたカブで気ままな旅をする博文(結城貴史)と、SNSで始終動画を配信している老女の泉(吉行和子)と、ゲストハウス「ココ」で慎ましくも満ち足りた生活を送っている。「ココ」で暮らしているのは、バイト先がつぶれてしまい今後の目標もなくくすぶる心を抱えた若者の存(たすく)や、日本語を話せて声優を志すも、その夢を諦め帰国を考えている中国人のシャオルーなどの人生の悩みを抱える若者たちや、飛び込みのゲストだった。いつも笑顔で、そんなお客さんを迎えている詩子も、故郷を飛び出してきた訳アリの過去を持つ女性だった。そんなゲストの若者たちをやさしく【人生は休憩が大事。考えながら休んでいいの】とつぶやく泉に励まされ、心落ちつくゲストハウスの若者たち。詩子やオーナーの博文まで心うたれる。家族のために家を出た年老いた泉の言葉は、「ココ」での生活をしている、ゲストハウスに暮らす若者たちのつかれてしまった人々の心を少しずつ解きほぐしていくのだった。若者たち「仮の家族」の旅立ちを見送る、ゲストハウスの住人の博文や詩子や泉のやさしいまなざし・・・。
ゲストハウスの住人と、そこに集う人々との愛しい日々を描いていくこの作品は、社会の片隅で集う善良な人々の生活を淡々と描く心温まるヒューマンドラマとなっているのです。セットでなく、築100年の本物の日本家屋を撮影現場とした、こささ監督の演出に感動させられる作品でもあるのです。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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