1960年代のボブ・ディランの若き日を描く作品です。140分の長尺映画ですが、ジェームズ・マンゴールド監督の力量で、最後まで退屈せずに見られる作品となっているのです。
1961年の冬、19歳のミネソタ出身の無名のボブ・ディラン(ティモシー・シャラメ)は、わずか10ドルをポケットにNYにギターを抱えて来る。目的は、病に倒れた尊敬するフォークシンガーのウディ・ガスリーを訪ねて自作の歌を聴いてもらうためだった。その場にいた人気シンガーのピート・シーガー(エドワード・ノートン)は、ディランの類い稀な才能を見抜き、妻のトシ(初音映莉子)と、人気のフォークシンガー、ジョーン・バエズ(モニカ・バルバロ)を共演させ、プロ・ミュージシャンとしてデビューさせる。そんなある日、教会のライブで知的なシルヴィ・ルッソ(エル・ファニング)に出会い、恋に落ち同棲しはじめる。1962年、アメリカ社会は、冷戦激化で核戦争の脅威にさらされる。ディランは『風に吹かれて』を作曲し、その歌に魅了されたバエズと愛を交わす仲になる。こうして、シルヴィ、バエズとの複雑な愛の関係が続く。1963年、ディランの人気は加熱する中、人種差別撤廃のワシントン大行進で演奏し、カーネギーホールのソロコンサートで時代を象徴する存在として成功の道を突き進んでいく。1964年、ニューポート・フォーク・フェスティバルで『時代は変わる』を歌うと会場の熱気は最高潮に達し、シルヴィは自分の前から飛び立つディランの姿が、自分の手に届かない高みにいる事を思うのだった。1965年、“フォーク界のプリンス”・“若者の代弁者”として人気絶頂のディランは、ジャンルを超えたロックサウンドに乗せた『ライク・ア・ローリングストーンズ』を発表する。ニューポート・フォーク・フェスティバルでディランは、フィナーレを飾るが・・・。
2016年、歌手として初めて【ノーベル文学賞】を受賞した、ボブ・ディランの若き日の5年間を描いていくこの作品は、疾風怒濤の時代を駆け抜けていくディランの天才的な才能と、ジャンルに拘りのない音楽へのディランの天才としてのジレンマと、複数の才能ある女性との愛の葛藤を描いていくのです。スピーディな監督の演出の力に酔う作品でした!!
ぼくのチケット代は、2400円出してもいい作品でした。
星印は、4ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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