荒木飛呂彦の人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズのスピンオフ作品『岸辺露伴は動かない』の二作目の作品です。
相手の心や記憶を『本』にして読むという特殊能力『ヘブンズ・ドアー』を持つ人気漫画家・岸辺露伴(高橋一生)は、担当編集者・泉京花(飯豊まりえ)が持って来た仕事で、イタリアのベネチアを訪れる。ふたりでベネチアに行けると張り切る京花だったが、またもや露伴に置き去りにされ、カンカンと怒りながらベネチアに行く。露伴はひとりでベネチアを散策し、ベネチアのカーニバル・仮面を作るベネチア生まれの日系二世の奇麗な若い娘(玉城ティナ)と知り合う。さらに露伴は、ある古びた教会の『懺悔室』で、カーニバル・仮面をつけた男(井浦新)の恐ろしい懺悔を聞かされる。それは、かつて誤って浮浪者を殺したこの男がかけられた『幸せの絶頂を迎えたときに“絶望”を味わう』という【呪い】についての告白だった。以来、この男は幸運の【絶頂】を味わう気持ちを持たないと決めて、必死に逃れようとしてきた。しかし、幸運続きの男が幸運を捨てて生き続けてきたのに、愛する可愛い娘を見て『幸福』を感じた瞬間、死んだはずの浮浪者が現れ、男は浮浪者と<ある試練>に挑むことになる。そんな男の奇妙な告白に、露伴は『ヘブンズ・ドアー』を使用してこの奇妙な出来事を探る。そして露伴は自分がベネチアに導かれたのは、この出来事のピースに収まる一員であることと、自分も【呪い】の一員である事を知るが・・・。
日本映画としてはじめてのベネチアでのオール・ロケーションで描くこの作品は、美しい水の都・ベネチアの風景を背景にして、岸辺露伴の独特の衣装が奇妙にマッチして、外国映画を見ているような錯覚を覚えるのですが、男にかけられた【呪い】の描写が長すぎて、岸辺露伴のミステリーの描写が浅く少し緩慢な内容となっているのです。
ぼくのチケット代は、2000円出してもいい作品でした。
星印は、2ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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