吉田修一の同名小説を李相日監督が映画化した、日本の伝統芸能である歌舞伎世界を描く作品です。175分の長尺映画なのですが、最後まで見る人の気持ちを、画面に魅きつける内容に仕上げているのです!!
上方歌舞伎の花形役者・花井半二郎(渡辺謙)は、長崎の任侠の徒『立花組』の宴会に招かれ、余興として演じられた通称『席の扉(せきのと)』の女方を演じる15才の少年・喜久雄(少年役・黒川想矢)の天才的演技と美しさに心を奪われる。組との抗争で天涯孤独になった喜久雄の天性の才能を見抜いた半二郎は、彼を引き取り歌舞伎役者として育てる決心をする。半二郎は、喜久雄に同じ年の跡取り息子・俊介(少年役・越山敬達)と同様に厳しい稽古をつけるが、妻の幸子(寺島しのぶ)は跡取りの俊介を凌ぐ才能を有する喜久雄の天性の才能に肩入れしすぎる半二郎の心の内を心配して見ていた。だが、成人した喜久雄(吉沢亮)と俊介(横浜流星)は、互いに切磋琢磨する兄弟のように慈しむ仲になり、二人で共演する『二人藤娘』や『二人道明寺』で、上方歌舞伎の華として人気狂言の地位を確立していく。だが、半二郎が不慮の事故で入院したとき、代役として喜久雄を指名し、二人の仲は微妙な仲になっていく。半二郎の名代を背負う地位の直系の俊介を差し置いて、『部屋子』の喜久雄が演じる舞台を見て俊介は、喜久雄の恋人・春江(高畑充希)と行方不明となる。跡継ぎの俊介を差し置いて、半二郎の命でありながら代役を務めた『部屋子』の喜久雄への非難が相次ぎ、歌舞伎界の伝統を破ったと弾劾された喜久雄の心は折れ、彷徨う心でぼろぼろになっていく喜久雄の精神。そして再会した喜久雄と俊介は、因縁の『曽根崎心中』を共演するが・・・。
『部屋子』として、後ろ盾を持たない稀有の天才役者が【人間国宝】となるまでを描くこの作品は、喜久雄が辿る伝統芸能の華やかだが芸道の苦しい道筋を、格調高く謳いあげる古典美溢れる内容となっているのです!吉沢亮と横浜流星の女方の美しさに酔うでしょう!!
ぼくのチケット代は、2400円出してもいい作品でした。
星印は、4ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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