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でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男

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   2025/07/01

衛藤賢史のシネマ教室

2003年。福岡県で、日本で初めて教師による児童への【虐め】が認定された体罰事件を取材した、福田ますみのルポルタージュ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』を、三池崇史監督が映画化した作品です。

2003年、中年の小学校教師・薮下誠一(綾野剛)は、担任の児童の母・氷室律子(柴咲コウ)から息子への体罰で告発された。律子が夫と共に校長(光石研)に話す内容は、薮下の息子への虐め方は聞くに堪えない酷い体罰であるという事だった。氷室夫妻は、校長へ薮下の凄惨な息子への虐めを得々と話して校長を責める。窮した校長は薮下を呼び謝罪して解決させようとする。この教師の虐め事件は、地方紙で掲載され、これをかぎつけた週刊春報の記者・鳴海(亀梨和也)がスクープとして“実名報道”に踏み切る。センセーショナルな言葉で飾られた記事は、世間を震撼させて薮下は【殺人教師】と呼ばれ、マスコミの標的となり、世間からの誹謗中傷の的になり、6ヶ月の停職をを命じられた。さらに氷室夫妻の民事訴訟で、日本中から550人の大弁護団が氷室夫妻の味方として結成され、民事裁判が始まった。校長の言うことを聞き、身に覚えのない事柄なのに、謝ればいいと思っていた薮下は窮する。ここに来て、身に覚えのない【殺人教師】と呼ばれた【教師の虐め事件】に立ち向かう決心を固めた気弱の薮下は、孤立無援の闘いを決心する。そして、地元でただひとり薮下の味方をする弁護士(小林薫)と共に、圧倒的不利の裁判に臨む。誰もが氷室夫妻の勝利を確信する中、法廷に立った薮下はただ一人の弁護士とともに『すべて事実無根のでっちあげ』と完全否定するが・・・。

強烈なクレーマーに翻弄されて、世間を騒がせた『小学校教師の児童虐め』事件を描くこの作品は、見る人の心を凍らせる内容となっているのです。ぼくもこの事件をマスコミの報道で知っていたのですが、『ああこんな酷い教師もいるんだ』と報道を信じていました。偏った報道の頭への刷り込みがいかに酷い事か知らされた作品になっているのです。それにしてもこの柴咲コウの無表情のモンスターマザーが強烈な印象を与える演技でした。詳しくは、福田ますみの本を読んでください。

ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。

星印は、3ッ半さしあげます。

5点満点中3.5点 2300円

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