アメリカ国民のヒーローで映画化されるたびにヒットした『スーパーマン』の最新作です。
普段は人の好い大手新聞記者として『デイリー・プラネット社』に勤め、クラーク・ケント(デビッド・コレンスウェット)と名乗り、【スーパーマン】であることを隠している。アメリカのピンチには【スーパーマン】としてお馴染みの服を着て現れ、超人的な力を発揮して人々を救う姿に、アメリカ国民の誰もが憧れる存在だった。だが、時には国境を越えての活躍はやりすぎだと、アメリカ国内で問題視されるようになる。新聞社の同僚で恋人の、唯一ケントの正体を知るレイン(レイチェル・ブロズナハン)からも非難する言葉を聞き、ケントは【スーパーマン】として<世界の人々を救う>という至上の使命に心が揺らぎ悩んでいる。一方、【スーパーマン】を世界にとって脅威とみなす、天才学者で大富豪のルーサー(ニコラス・ホルト)は、【スーパーマン】と対峙する超巨大な生物【KAIJU】を発明して世論を操作し、【スーパーマン】が異星人であると非難して、アメリカ国民の心が離れるように、ルーサーが作った疑似宇宙で【スーパーマン】が圧倒的不利な条件に持ち込み【KAIJU】と戦わせ、【スーパーマン】を苦しめる。幾重にも罠がかけられた疑似宇宙の戦いで傷つきボロボロになった心と体で、慈しんでくれた地球の育ての親への思いや<世界の人々を救う>心で【スーパーマン】は、ルーサーが考案した卑怯な戦いに挑んでいくが・・・。
初期の単純なヒーロー作品が、シリーズが続く内に、アメリカ国内の複雑な情勢の変化で、アメコミヒーローの内容の複雑化が進むハリウッド映画を象徴させる作品である。【スーパーマン】の出自を複雑化して、自分の出自を悩み乱れる心の葛藤と、特殊撮影の進化で桁違いの破天荒なアクションシーンの、両方を見せるアメコミヒーローの行き着く果てを考えさせる作品でした。もう何も考えずにハッピーエンドを楽しんだ、よき古き楽しいハリウッド娯楽映画の演出のうまさに酔いながら映画館を出た昔の自分をなつかしむこの頃です。
ぼくのチケット代は、2100円出してもいい作品でした。
星印は、3ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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