インディーゲームクリエイターのKOTAKE CREATEが個人で制作・リリースし、世界的ブームを起こしたゲームを、川村元気監督が映画化した作品です。
車内で泣く赤ん坊の母親を怒鳴るヒステリックなサラリーマンに、閉口する青年(二宮和也)は、途中下車して入り口に行く。蛍光灯が灯る無機質な白い地下通路を歩いて行くが、いつまで経っても『出口』にたどり着くことが出来ない。何度もすれ違うスーツ姿の男(河内大和)に違和感を覚え、自分が同じ通路を繰り返して歩いていることに気づく。白昼夢のような気持ちの青年は、地下通路の壁に掲示された奇妙な『ご案内』を見つける。それには【異変を見逃さないこと】【異変を見つけたら、すぐに引き返すこと】【異変が見つからなかったら、引き返さないこと】そして【8番出口から、外に出ること】と表示されている。ケータイでつき合っている女性(小松菜奈)に連絡すると『私、妊娠しているの』と言う。頭が混乱しながら青年は喘息の吸引をしながら何回地下通路を歩いても、【8番出口】が開かない【無限回廊】を歩きながら、謎の美少女(花瀬琴音)や、少年(浅沼成)と出会う。青年は白昼夢のような無限回廊から抜け出すべく、【8番出口】を求めて【異変】を少年と探すが・・・。
登場人物たちは、青年に何のつながりもなく脈絡もなく、地下通路を歩くだけの内容の作品だが、歩くスーツ姿の男を演じる河内大和の圧倒的な不気味な存在感の演技が目に焼きつくのだ。ストーリーのないこの作品は見る観客が、二宮和也演じる青年が同じように無限回廊を彷徨う白昼夢のような出来事に同調し、感覚だけで見る映画になっているのだ!!インディーゲームを知らない人には、呆気に取られる作品だったが、ほぼ満員の観客にインディーゲームの人気を知らしめる映画だったのだ!人との関わりを、恐れいやがる風潮の現在の若者たちの心を象徴しようとする意図が根底(二宮和也の役割にそれがある)に入っているのは分かるが・・・。娯楽映画として超異色な作品で、ゲームに弱いぼくは、脈絡が無い内容を受けつけるのがむつかしい作品でした。
ぼくのチケット代は、1900円出してもいい作品でした。
星印は、2ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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