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   2025/09/23

衛藤賢史のシネマ教室

真藤順丈の直木賞受賞『宝島』を、大友啓史監督がコロナ禍などで撮影延期を経て完成させた191分の長尺作品です。

1952年(昭和22)。米軍統治下の【沖縄】。沖縄島民がアメリカの支配下に置かれていた頃、米軍基地に忍び込み基地内の生活物資を奪い、困窮する住民らに分け与える『戦果アンギャー』と呼ばれる若者たちがいた。リーダーは“コザの英雄”と住民に呼ばれたオン(永山瑛太)で、オンを慕うグスク(妻夫木聡)、オンの弟・レイ(窪田正孝)、オンの恋人・ヤマコ(広瀬すず)などの仲の良いワルガキ仲間がいた。彼らにとってオンは、従えば世の中怖いものが無いと思うほどのカリスマなリーダーだった。ある夜、“戦果アンギャー”は基地荒らしの大勝負に出て、米軍の待ち伏せにあい銃撃され、散り散りに逃げたがオンの行方だけ分からなくなった。6年後、グスクは刑事になり、ヤマコは小学校教師、レイはヤクザになり、それぞれがその職業を通してオンの影を追いながら、厳しい米軍統治下で生きていた。グスクは刑事としての利点を使い米軍情報部の将校から、オンについての情報を探るが、なぜか何者かに襲われ重傷を負う。ヤマコは米軍のバーで働きながら勉強し、教師の資格を取り小学校の教師になるが、その学校への米軍飛行機墜落の事件で、沖縄返還の運動に走る。レイはヤクザ同士のケンカにオンの影を知ろうとしていた。そしてベトナム戦争で荒れた心を抱える若い米軍兵士の、沖縄住民へのやりたい放題の行いで、従順だと思われた沖縄住民の怒りが爆発する【コザ暴動】がはじまる。そして次第に明らかになるオンの行方とは・・・。

米軍基地内を必死に車で逃げながら、米軍兵士から激しい銃弾を浴びるファーストシーンから、【コザ暴動】の従順だと思われた沖縄住民の激しい怒りの暴動をクライマックスとして描くこの作品は、191分の長尺を大友啓史監督の熱量の塊を帯びた演出のまま一気に加速して突き進み、見る人の心を最後までつかむ内容となっているのです。クライマックスの【コザ暴動】の20分の長さの描写が、オンたちの心同様【沖縄】の人たちの、心からの怒りを余すところなく見せてくれるのです。

ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。

星印は、4ッさしあげます。

5点満点中4点 2300円

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