ヨーロッパの3大映画祭で受賞歴を持つポール・トーマス・アンダーソン監督が、トマス・ピンチョンの小説『ヴァインランド』からの着想を得た作品です。
白人至上主義の国で、ひと昔前は世間を騒がせた過去を持つ革命家のボブ(レオナルド・ディカプリオ)は、ボブよりも暴れまくっていた黒人女性のカリスマ革命家(テナヤ・テイラー)と結ばれ、生まれた女の子を溺愛するボブは革命を頓挫してウィラと名づけた娘と暮らすことを選び、恋人と思う女は家を離れ革命に命をかけて行方不明となっていた。それから16年が過ぎ、ウィラ(チェイス・インフィニティ)はハイスクールの生徒で空手を習う娘となっていた。いまは平凡でさえない日々を送るボブだったが、ウィラへの愛は変わらなかった。そんなボブの大切なひとり娘ウィラが、とある理由からさらわれ命を狙われることになってしまう。次から次へと現れる刺客たちとの戦いに身を投じていくうちに、革命家時代の闘争心を次第によみがえらせていくボブだが、無慈悲な警察官のロックジョー(ショーン・ペン)が異常な執着心でウィラを狙い、父娘を追い詰めていく。ボブのピンチに現れ、ボブとウィラを救う空手道場の謎のセンセイ(ベニチオ・デル・トロ)の助けを借りて、ロックジョーと戦うボブだったが・・・。
全編を通して白人至上主義の団体と、それを阻止しようとする革命家たちの戦いを描くこの作品は、血なまぐさい戦いを延々と見せる内容となっているのです。愛する混血の娘を守ろうとする、中年男の白人男性で今はドラッグにおぼれ冴えないボブを、レオナルド・ディカプリオが演じ、熱演しているのです。架空の国と設定しているが、現代のアメリカの混乱を想定していると思う内容だとわかるのです。汚い言葉が飛び交うのには、少しへきえきしながら見ました。
ぼくのチケット代は、2000円出してもいい作品でした。
星印は、3ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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