『岸辺露伴』シリーズの監督・渡辺一貴と主演の高橋一生のタッグによるオリジナル作品。岡山県に伝わる妖怪『脛擦り(すねこすり)』に着想を得て、渡辺一貴が監督・脚本を担当した、深い森の中を舞台に、神秘的で耽美な描写で描く残酷な愛の物語です。
人里から離れた深い森の中、【脛】に傷を負った若い男(黒崎煌代)は、天然の洞窟を抜けて若い女(蒼戸虹子)の甘いふしぎな歌声に導かれ、古めかしい神社にたどり着く。そこには白髪の謎の男 (高橋一生)が、その巫女姿の若い女・さゆりと暮らしていた。歌を歌っていた巫女姿のさゆりから不思議な看病を受け、【脛】の傷も癒えた若い男は、そこで夢のような、時の止まったかのような時間を過ごす。若い男は、そこに住む白髪の男と囲碁を打ち若い男は勝ち続ける。その合間に、若い女・さゆりと風が吹く日、灯明をあげる日々を過ごす。囲碁に負けつづけた白髪の男が勝った日に、白髪の男は逃げるように旅に立つ。白髪の男を追う若い男の【脛】にすがりつく若い女・さゆり・・・。
フェードアウトの繰り返しを使い、囲碁の時間と若い女・さゆりとの灯明の時間を繰り返し見せながら、静謐で耽美な時間の描写で描くこの作品は、渡辺一貴監督の岡山県に伝わる古い伝承の【脛擦り】の話しを、古い神舎に置かれた若い巫女の寂しさと、物狂いを詩的な描写で描く。若い女・さゆりの幻想的な巫女姿の美しさ。若い男が着せられた山に住む男の古い服装。妖怪話を幻想的な話に変え、寂しい【脛擦り】の妖怪の伝承をローレライの神話のように描いているのだ。最近の映画で60分の小編の作品はひさしぶりだが、幻想的な描写のような不思議な力を持つ映画もあっていいと思いながら見ました。巫女姿の若い女・蒼戸虹子の所作の美しさと服装がこの作品を彩るのです。
ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。
星印は、3ッ差し上げます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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