県立美術館の「進撃の巨人」展と時を同じくして封切られた。大分県出身の諌山創のブーム的減少となったマンガ作品の実写版による作品である。
この作品は前後編に分けられて封切られる大作であり、本作はその前編となっている。
百年近く前、地球上に現れた人間を食べる謎の巨人によって人類はなす術もなく蹂躙され、文明は崩壊し僅か生きん残った者たちは、身を守るために巨人の身長よりも高い巨大な壁を作り、そこに身を縮めるように生活する世界になった。
それから百年、巨人たちはその壁を越えられず平和な生活をしていた。
壁の周りの居住空間では、外の壁の周りに一般庶民や農地があり、それより内側の中乃壁内は富裕層が暮らすという階級社会による住み分けができていた。
その外乃壁内にある街モンゼンの市場では庶民たちの活発な活動で賑わっていたある日。体力がなく弱い身体だが機械を作ることが大好きなアルミンは、仲良しの女の子ミカサと、親友エレンとで外乃壁に近寄り、警備の目を盗んで壁の外に出ようとしたとき、突然に壁の上から超巨人の顔が現れ外乃壁の一部を壊しはじめる。
そして壊れた壁の隙間から百年ぶりに巨人たちが入り込み人間を襲い始めた。
恐怖で逃げ惑う人間たちを捕らえむさぼり食う巨人たち。
その惨劇の中でエレンとアルミンは、赤ん坊を助けようとしたミカサを見失ってしまった。2年後、エレンとアルミンは、外壁再建団作業部隊に志願した。今も外乃壁と中乃壁には無数の巨人たちが人間を求めて徘徊していたのだ。富裕層の志願員ジャンや農民サンナギらとウバル隊長、武器研究員ハンジと共に出動したエレンとアルミンは、巨人に襲われた時、人類最強の戦士シキシマに救われるが、シキシマの側近として活躍する女性を見て驚愕する、その女性戦士は何とミカサだったのだ。
外乃壁修復作戦は、巨人たちの襲撃によって破壊の危機を迎えようとした時、決死の活動をするエレンにある異変が起ころうとしていた…。
特撮とCGを融合した映像<ハイブリッドVFX>で生々しい巨人の姿を実写化したこの作品は、諌山ワールドの平面世界を三次元化させ、巨人と人間の究極の戦いをスクリーンに再現した。しかし、ここに全力を投入した結果、人間のキャラクター造型が今ひとつピンと来ない欠点がある。だがこの作品は前編だけなので、後編にこの辺の描写を期待するしかないと思われる内容であった。
ぼくのチケット代は、1900円出してもいい作品でした。
星印は、前編だけというハンディはあるものの2つ半ぐらいかなと思います。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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