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ニューヨーク眺めのいい部屋売ります

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   2016/02/16

衛藤賢史のシネマ教室

シニア世代に贈る、ちょっと小粋で心温まるホーム・コメディ。
モーガン・フリーマンとダイアン・キートンの息の合った演技が楽しい作品である。
もう40年もブルックリンのマンションに住む画家のアレックスと元教師のルース夫婦は、老愛犬ドロシーと仲睦まじく暮らしていた。
ふたりがまだ貧しい時代に、人気のなかった地区のブルックリンで安く手に入れたマンションは、5階の最上階にある眺めのいい部屋であり、それ以来40年ふたりは共にこの場所で人生を過ごしてきたのだった。そしていつしか、このブルックリンはニューヨークで一番あこがれの場所に変化していた。
だが老境に達したアレックスとルース、そしてドロシーにもこの快適なマンションの暮らしが少し苦になり始めたのだ、それと言うのはこのマンションにはエレベーターがなかったのだ!そんな折、愛犬ドロシーがアレックスと日課の散歩の帰り、階段を登るのを嫌がり、やっと5階の部屋に戻った後に倒れてしまった。ふたりは慌てふためいて動物病院に連れて行ったが、ルースは夫アレックスと愛犬ドロシーのために、この愛着のあるマンションを売る決心をする。
そしてルースは、不動産エージェントを営む姪に頼んでオープンハウスの手配をする。
しぶるアレックスをよそに人気エリアなだけに次々と内覧の申し込みがあり、100万ドル近い値がつきはじめる。外ではTVではブルックリン橋での謎のテロ騒ぎを盛大に放送している中、てんやわんやの客との話し合いに忙殺され、うんざりしはじめたルースとアレックスは、自分たちの次の住む場所を探しに広告で掲示されているマンション物件の内覧にテロ騒ぎの渋滞の中、街中をくたびれ果てながら回っていた。
40年の思い出がギッシリ詰まっているエレベーターのない我が家、最上階のベランダから見えるニューヨークの街並み、黒人と白人との結婚での差別を乗り越えた我が家、次々とフラッシュバックでの過去の思い出の中、アレックスとルースはふたりが一番大事なものを失いつつあることに気付き始めるのだったが…。
オープンハウスという仕組みのドライさや、不動産売買の交渉術など、アメリカの知らない仕組みを分かる楽しさ、そして、老夫婦のセンスのいい会話の数々、ブルックリンのレトロな街並みへの楽しさもいいが、なんと言っても激動の時代を深い夫婦の絆で結ばれたシニア世代へのリスペクトがいい余韻を与える作品となっている。
ぼくのチケット代は、2,200円出してもい作品でした。
星印は3つ半差し上げます。
 
 

5点満点中3.5点 2200円

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