ジョディ・フォスターが自身出演せず監督業務に専念して作ったサスペンス作品。
今回は前3作とは内容をガラリと変えて、手に汗にぎるスリリングな娯楽映画に挑戦してきた。
軽薄なトークと派手なアクションで、お堅い財テク情報番組を「マネーモンスター」をショー化し高視聴率をかせぐTV番組の司会者リー・ゲイツは、今日も番組プロデューサーであるパテイの指示を無視し、過激なアドリブ・トークを全開し番組を進めていた。今日のテーマは、上場したばかりのアイビス社の株が急落し、8億ドルの損失額を出した原因をアイビス社の広報担当ダイアンに出演してもらい急落原因を糾明する内容となっていた。実は前にリーはこの社の株を強力に推奨し、視聴者に銀行預金よりも堅いと煽ってきていたのだ。その生番組の進行中、宅配業を装いテレビ局に入った若い男がスタジオに乱入し、番組ジャックしてしまう。男の名はカイル、リーの勧めに乗って6万ドルの母の遺産全額をアイビス社の株に投資してスッテンテンになってしまっていたのだ。カイルはリーを面罵しリーの体に爆弾スーツを着けさせ、アイビス社の取引のカラクリをTVを通して世界に暴露しろと迫った。この緊急事態の発生にもパテイは冷静にリーにワイヤレスのマイクを通して何とか時間を稼ぐように指示し、同時にスタッフと共にアイビス社の情報を集めはじめる。体に爆弾スーツを着けさせられたリーも、必死でカイルをなだめ最悪の事態になることを回避しようと得意のトークで時間を稼ごうと努力する。
その間、パテイはアイビス社の株を操作するアルゴリズムの設計者を見つければ、謎の株の大暴落の理由がわかると判断し、あらゆるツテをたどり探しはじめた。
世界中の視聴者がTV局の中では、パテイを中心としたスタッフが懸命にアイビス社の情報を収集し、8億ドルという巨大な損失の裏に隠された謎の原因の理由に迫っていくのだが・・・。
マネーゲームを煽るTV局、それに乗る大衆、それを利用する投資会社、そしてHFT(高速取引)という一瞬の内に大量の株の売買ができるコンピューターによるアルゴリズムの怖さなど、現代社会の物欲にとりつかれた現状をスリリングな娯楽映画に仕上げたフォスター監督の腕は確かなものであり、面白く見ることができる作品となっている。
ぼくのチケット代は、2,100円出してもいい作品でした。
星印は3つ半差し上げます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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