主役のモーグリを演じるニール・セディ以外の動物やインドの鬱蒼たるジャングルの自然描写を、すべてCGで表現されたこの作品は、原作のキプリングも絶対満足させるであろう大自然への尊敬と動物への愛情に満ちた楽しい娯楽映画となっていた。
ジャングルにたったひとり取り残された人間の赤ん坊モーグリを助けた黒豹のバーキラは、狼の群れに赤ん坊の養育を頼む。モーグリは母狼のラクシャの愛情を受け、狼の子として元気に育った。狼の長アキーラから<仲間のために尽くす>と教えられ、人間の道具を使うことを厳しく戒める。モーグリが狼の一員としてアキーラやラクシャの元で立派に育つのを黒豹のバギーラは、群れの外からやさしく見守っていた時、人間に激しい憎しみを持つ虎のシア・カーンが現れた。シア・カーンは人間の子モーグリを脅威に感じていたのだ。ジャングルの王シア・カーンの恫喝で、群れを守る義務を持つアキーラの苦悩を察したモーグリは、まだ見たこともない人間の元に去ることを決心し、バキーラに伴われて人間が住むという村を目指して旅に出た。
途中バギーラははぐれたモーグリは、錦蛇のカーに襲われるが危うい所を熊のバルーに救われる。自由な心を持つバルーは<狼らしくなくてもいい、モーグリのやり方で、このジャングルで生きていけるさ>と諭してくれる。再びバキーラと再会したモーグリはバルーと旅をつづけるが、猿の王であるキング・ルーイから父狼のアキーラがシア・カーンから殺されたことを知らされる。怒りと悲しみの内、モーグリはシア・カーンと対決する覚悟を決めて、バギーラとバルーと共にジャングルの故郷へととって返す。モーグリは、バルーが教えてくれた<モーグリのやり方でやれ>を実行しようと決心していたのだ、そしてその方法とは…。
すべてがCG描写とはとても思えないジャングルの自然描写には驚かされてしまった瞬間!この作品の世界に嵌まってしまった。さらに動物たちの豊かな表情、動作すべてがリアルであり、モーグリ演じる可愛いニール・セディ少年ただひとりが人間であることを忘れさせるCG上の動物のチャーミングな動きに圧倒される作品となっていた!
大人も子供も楽しめれる作品として、また子供たちへの絶好の情操教育の一環としてお勧めしたい作品ともなっているのだ。
ぼくのチケット代は2,100円出してもいい作品でした。
星印は4つ差し上げます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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