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奇跡がくれた数式

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   2016/11/29

衛藤賢史のシネマ教室

神が与えた天賦の才によって、直感で頭の中に難解な数式の解答が次々と沸き出すというインドの天才数学者シュリニヴァーサ・ラマヌジャンの数奇な人生を描いた作品である。ラマヌジャンの数式は、現在ブラック・ホールの研究にも使用されており、またある数式はインター・ネット研究にも利用され、現代科学の最先端を担っているのだ。
また20世紀初頭の白人優越主義によって差別されるラマヌジャンの苦悩にも迫る、濃い内容のメッセージ性を持つ内容ともなっているのである。
第一次世界大戦が勃発する1914年。当時世界最高峰の数学理論研究者をそろえたケンブリッジ大学トリニティ・カレッジでも異才をはなつG・H・ハーディ教授の下に英国の植民地インドから一通の手紙が届いた。そこには世界中の数学者がてこずっていた数式の解答が書かれていた。ただそれは解答だけであり数式の証明がないのだ。だが瞬時にしてその凄さに気付いたハーディは、同僚のリトルウッド教授と相談し、まったく無名でしかも植民地のインド人というラマヌジャンという青年を大学に呼び寄せる。
人づきあいが苦手の無神論者であるハーディ教授は、インドの神を信奉しその神の力によって自分の頭の中に数式が宿ると言うラマヌジャンの気持ちが分からない。しかも、数学者にとって大事な数式の解答にいたる証明理論をなしに解答さえあればいいと言うラマヌジャンに手こずってしまう。科学と神という狭間で衝突しながらハーディ教授はラマヌジャンに知性的学問のあり方を教えていくが、折からの戦争でインド人のラマヌジャンは徹底的差別を受け、ハーディ教授との異質の文化の衝突で体調を壊していく。しかし、リトルウッド教授の協力もありハーディ教授は、ラマヌジャンの世界中の数学者が解けなかった数式の解答の理論的証明に成功し、ラマヌジャンを大学の名誉あるフェロー(特別研究員)の認定資格を獲得させたのだか…。
「この人たちの頭の構造はどうなっているのだろうか」と凡人であるぼくが思うほど難解な数学理論が飛び交う「さっぱり分らん?」世界の話しだけど、ハーディ教授とラマヌジャンの民族的意識の違いからくる葛藤と理解までの濃い内容によって、ドラマとして見応えのある作品にマシュー・ブラウン監督は仕上げてきた!
インドの人にとって小学生でも知っているらしいラマヌジャンという、現代の最新科学の先端でも最大評価されている32才で夭折した天才数学者は、科学の<アインシュタイン>、音楽の<モーツァルト>にも匹敵する神に愛された天才だったのだ。
同時に、民族差別という愚かしい考えについても警鐘を鳴らす作品でもあるのだ!
ぼくのチケット代は、2,300円出してもいい作品でした。
星印は、4ツさしあげます。

5点満点中4点 2300円

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