2017年の初頭作品は「ナーヴ(NERVE)」という日本語で<勇気・度胸>の意味となる青春映画です。
一歩踏み出す勇気(ナーヴ)がない、真面目な女子高校生が闇ネットの<ナーヴ>に弾みで登録し、危険な賭けゲームの渦中に巻き込まれていくという内容となっています。
看護師の母とNYで暮らすヴィーは、カリフォルニア芸術大学に合格するが、地元大学に進学し自分とふたりで平穏に暮らすと思い込んでいる母に言いそびれて悩んでいた。そんな折、親友のシドニーから<ナーヴ>という闇サイトの参加型ゲームの事を知らされる。そのゲームは、サイトにアクセスした人が「挑戦者」と「視聴者」どちらかに登録し、「挑戦者」は匿名の不特定多数「視聴者」が出す指令に挑戦し達成できたら賞金を貰えるという賭けゲームだった。
真面目なヴィーは、そんな闇サイト・ゲーム登録する意思は皆無だったが、奔放なシドニーから色々な事をバカにされ、カッとなった弾みで何と「挑戦者」に登録してしまう。まず見知らぬ男性にキスをする、という指令に成功したヴィーはサイトで名が知られ、しかも賞金がすぐに振り込まれるという快感に段々と気分が高揚し、キスをしたイアンと組み、より難易度の上がる指令を次々と達成していく。今やその闇サイトの人気者になったヴィーにシドニーは嫉妬し、ふたりはライバル心剥き出しにして「視聴者」が出す指令に挑戦しはじめる。しかし、最高ランクの人気者になったヴィーは、命の危険を感じるエスカレートする「視聴者」からの指令に我に返り、この危険な賭けゲームを告発しようと考えはじめた。しかし、告発することは裏切り者の刻印を押され「囚人」のランクとなり制裁される事になるのだ。だがヴィーは、真の勇気<ナーヴ>とはこのような闇サイトを潰すことだと決心し、ヴィーと仲良しの仲間たちと計画を練りはじめるのだが…。
青春の一面にある無鉄砲な勇気(ナーヴ)、理性的な勇気(ナーヴ)の両面を表現しながら、匿名でいられる気楽な立場からより過激性・攻撃性を増す、ネット社会の怖さを根底に据えたこの作品は、そのテーマ性において現代的な問題をはらんでいる。
しかし、内容的には作劇法が少し単調になっているので見終えた後の印象が稀薄になっていたのが残念であった!
ぼくのチケット代は、1,800円を出してもいい作品でした。
星印は、2ツ半差し上げます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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