ユニバーサル映画のオハコであった怪奇物の作品を、新たにリニューアルし特A級のスケールを持つ内容に仕立て直す<ダーク・ユニバース>と呼称した映画の先陣を受けたのがこの作品だ。なるほど!これ程のプロジェクトだったら、絶対に失敗は許されないという意気込みから、トム・クルーズを起用する訳だ、納得!もう欧米では大ヒットしているらしいので製作会社も一安心だろう。
アメリカ軍人でちょいワルのトレジャー・ハンターであるニック(トム・クルーズ)は、中東の戦闘地域から石棺を発見する。女性考古学者ジェニー(アナベル・ウォーリス)は、その墓には内臓を保管する壺がなく牢獄のような作りから生きたままミイラにされたと鑑定し、ニックたちと軍の輸送機でロンドンに運ぶ途中、不測の事故で輸送機が墜落する。ジェニーはニックの機転で落下傘で脱出するも、ニックは墜落した輸送機に乗ったまま。ところがニックのみは無傷で助かる奇妙な出来事となる。その石棺の主は二千年前の古代エジプトの王女アマネット(ソフィア・プテラ)であり、セト神との契約で不死の命を保証されていたのだ。そしてアマネットはニックを自分の下僕とするため命を助けたのだった。そのロンドンではプロディジュウムという機密組織がモンスターや悪について科学的に研究しており、ボスのジキル博士(ラッセル・クロウ)はアマネットの凶暴性を科学的に解明しようとしていた。しかし蘇ったアマネットの凶暴性は想定の範囲を超えた凄まじいパワーであり、ロンドンの街が全部破壊されようとする。ニックとジェニーは、アマネットに立ち向かうのだが・・・。
『ミイラ再生』(;32)をよりパワーアップさせたストーリー展開に加えて、元の話しではミイラは古代エジプトの邪悪な僧侶だったのを、アマネットという王女に変えた設定は見事に成功したといっていい。ソフィア・プテラのアマネット役はすこぶるつきにチャーミングでありながら、二千年の時空を超えた恨みを忘れない悪女ぶりは、主役のトム・クルーズを食うほどの存在感を示してくれるウーマン・モンスターだった!中東の戦闘、輸送機の墜落、古代エジプト、そしてロンドンの秘密研究所と目まぐるしく場所、時空を移しながら、ぼくら観客にまばたきする瞬間も与えない程にスリリングに展開させていくアレックス・カーツマン監督の演出手腕は、これぞ娯楽映画!と拍手したくなる。なるほど、これだったら欧米でヒットしたのは当たり前かと思う作品だった!
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、3ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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