すこしお話しが出来すぎた感があるも、見る観客の期待を裏切らないほのぼのとした流れをぼくは肯定する。ラッセ・ハルストレム監督はよほど愛犬家だろうと思うのは、犬を主題にした作品はいつも犬にメロメロになってしまい、ドラマの内容をシンプルにしてしまう癖があるようなのだ。犬好きのぼくにとって、そんな監督の心値がうれしいので点がどうしても甘くなってしまう。そして今回は、愛する主人といつまでも一緒にいたいゴールデン・レトリバーのベイリーが何回も転生してベイリーの心を持ったまま主人を探すファンタジー形式なのだ。
8才のイーサン(ブライ・ゲイザー)に拾われたゲイリーは、いつもイーサンと一緒で毎日が楽しくてたまらない。その中でもアメフトのボール遊びが大好きで、イーサンが考えた特別のフォーメーションを発明する。時が過ぎ高校でアメフトのQBになったイーサン(K・J・アパ)は、憧れのハンナの恋人となり、ベイリーもハンナが大好き。しかしイーサンの家庭に不幸が起こった頃、ベイリーはもう老犬となりイーサンへの想いを残したまま寿命を終えてしまう。そしてベイリーの心を持ったまま、エリーと名付けられたジャーマン・シェパードの警察犬に転生する。優秀なドッグ・ポリスのカルロスと組んで数々の事件を解決するが、ある事件でカルロスを助けようとして殉職してしまう。二回目の転生は、コーギー種のティノとして、寂しがり屋の女子学生マヤと暮らすようになる。ティノのお陰でマヤは恋人と巡り合うが、犬の寿命は人間よりもはるかに短くベイリーの心を持ったティノとして一生を終えていく。三回目の転生は、レトリバーの雑種として生れ、子犬の頃、貧乏で荒っぽいカップルに拾われバディと名付けられたものの、カップルに捨てられてしまう。当てもなくさ迷うバディだが、ベイリーの心は懐かしいイーサン(デニス・クェイド)の匂いをかぎつけるが、イーサンには分からない。さあ、イーサンはバディがベイリーの転生の果てであるのが分かるのか・・・?
何回も転生を繰り返し、愛するイーサンを探すベイリーの健気な行動をファンタジックに描くこの作品は、愛犬家にとって自分んちの愛犬とオーバーラップさせながら愛しい気持ちいっぱいで見ることだろう。もう内容が大甘なんて関係ナシ!色々な犬種の主人への愛情を見るだけでメロメロになること請け合いの作品となっているのだ!人間の孤独な心を癒すのはペットがいちばんとしみじみ思う内容となっているのだ。
ぼくのチケット代は、2100円を出してもいい作品でした。
星印は3ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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