1978年に初放映された「アルプスの少女ハイジ」は、今も世代を超えて日本人に最も愛されている名作アニメ(高畑勲/宮崎駿)となっている。
この作品は、その原作(ヨハンナ・シュピリ1880)の本家本元であるスイスが、実写版として映画化したものであり、アルプスの大自然に育まれた子供たちの友情と、それを見守る大人たちの暖かいまなざしを描く、愛と友情と大自然が与えてくれた小さな奇跡の物語となっているのだ!
孤児である8才の少女ハイジ(アヌーク・シュテフェン)は、アルプスの山に住む偏屈者の祖父であるアルム(ブルーノ・ガンツ)に叔母から預けられる。アルムは最初は嫌がるがハイジの活発で明るい性格にだんだんと心を開いてくる。下の村に住むヤギ飼いの少年ペーター(クイリン・アグリッピ)とも友達になり、ハイジはアルプスの大自然を心から愛し毎日を楽しく過ごしていた。そんなハイジに叔母が、フランクフルトに住む大金持ちのお嬢様クララ(イザベル・オットマン)の話し相手として都会へ行くよう言ってきた。もうハイジなしの生活など考えられないアルムは反対するが、叔母は強引にハイジをフランクフルトに連れ出す。クララは母が亡くなったショックで足が立たなくなり車椅子の生活をしており、父は商売でいつも家を留守にしている境遇の寂しい少女だった。上流生活になじめないハイジだったが、クララのやさしい性格にハイジは何とか頑張る。だが奔放に育ったハイジは上流社会の窮屈な約束事にしだいに心が疲れてきて、毎日アルプスの自由な生活を思うようになる。そんなハイジを時折訪ねてくるクララのやさしい祖母は、ハイジの気持ちを敏感に察し読み書きを教えなぐさめようとするのだが、ハイジのアルプスの山を想う気持ちは日々強くなったあげくある事件が起こってしまう・・・。
アルプスの雄大な自然の撮影を背景に描かれるこの作品は、ハイジを演じるアヌーク・シュテフェンのキュートな演技によって、ぼくら観客を完全にハイジの気持ちと同化させる魅力に満ちた内容となっており、リピートしたくなる映画となっている。ドイツの名優ブルーノ・ガンツがアルムのおじいちゃん役を快諾した事がよく分かる、万人が見終えた後、やさしさと愛の物語を満喫しながら映画館を後にできる、心地いい余韻に浸れる作品となっているのだ!
ぼくのチケット代は、2400円出してもいい作品となっていました。
星印は4ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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