『エリン・ブロコビッチ』(;00)『オーシャンズ11』(;01)のスティーヴン・ソダーバーグが4年ぶりに映画復帰したクライム・コメディ。切れのいい演出はまだ衰えてなく、けっこう楽しめる内容となっていた。
かってアメフト界で鳴らしたジミー・ローガン(チェニング・テイタム)は、致命的な足の負傷で、今は地元の田舎で坑夫として暮らしていたが、足をひきずっての仕事をオーナーに見られクビになってしまう。弟のクライド(アダム・ドライバー)はイラクの戦地で片腕を無くし独り身のままバーテンダーとして細々と暮らしている。そんなどん底の状態の中、ジミーは一発逆転の計画を練っていた。それは地元唯一の産業であるカーレース場の現金強奪計画だった。ジミーは坑夫として地下で働いていた時、むき出しの隣接するカーレース場の現金輸送手段のパイプを見てその計画を日々立てていたのだ!だが、爆破のプロが必要!目をつけたのが刑務所に服役中のジョー・バンク(ダニエル・グレイブ)。仕事をする日に刑務所から奇抜な方法で脱獄させ、終えてから刑務所にもどす、その計画をもってジョーに面会したジミーとクライド。仲間としてジョーの弟ふたりに、カーマニアのローガン兄弟の妹メリー(ライリー・キーオ)を加えてジミーの周到な現金強奪作戦が開始された。だがある齟齬により決行の日にちが狂ってしまう。さあどうするローガン兄弟!首尾よく作戦は成功するのか・・・?
不運つづきのローガン一家が計画する超奇抜な現金強奪作戦を描くこの作品は、ユーモア感を全編にちりばめながら、細部の強奪方法・アリバイ工作など<ウッソ~、これじゃあすぐバレちゃうよ>と思わせない脚本の出来のよさによって、見ていて思わずニッコリしてしまう楽しい内容となっていた。ラストの落ちなども小意気な練り方となっており、ヒットすれば続編ありだよ!を暗示させる、いかにもハリウッド・エンタティメントらしい映画であった。
ぼくのチケット代は、2100円出してもいい作品でした。
星印は、3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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