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空海−KU-KAI− 美しき王妃の謎

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   2018/02/27

衛藤賢史のシネマ教室

夢枕獏の原作に魅かれて!この映画を見ようした人へ一言ご注意しときます。
文庫本で上・中・下となる大長編小説は忘れてください。この作品は、チェン・カイコー監督が原作の主要なエッセンスだけを拝借した、チェン・カイコーの映画となっているからです。
ぼくも最初は「エッ?」と思いましたが、それはそれで頭のチャンネルを切り替えると、けっこう楽しめました。
 
舞台は8世紀の唐。遣唐使として中国に渡った若き空海(染谷将太)は、長安に着くや早々に、皇帝の謎の死という奇怪な事件の渦中に巻き込まれた。科拳というエリートにも関わらず大詩人家をめざす白楽天(ホアン・シュアン)と共に事件の謎を解明する羽目となった空海は、代々宮中の警護を務める陳雲樵(チン・ハオ)と妻・春琴(キティ・チャン)に目をつける。そこには怪しげな術を使う妖怪の黒猫が徘徊して春琴を操っていたのだ。そして白楽天の知識から、その黒猫に関係する出来事が徐々に判明する。空海が唐に渡来する30年前の玄宗皇帝の時代。皇帝の寵愛を一身に受けた皇妃・楊貴妃(チャン・ロンロン)が、安禄山の乱により玄宗皇帝の愛猫と共に生き埋めにされたという惨い出来事があったというのだ。その事件に介在していたのが陳の父親だった。
空海と白楽天は、当時を知る関係者を当たり白玲(松坂慶子)を見つける。白玲の夫は安倍仲麻呂(阿部寛)で、極秘の日記帳をつけていた。その日記帳には、当時の出来事が詳細に記されていたのだ。空海と白楽天は、そこから事件の深い闇にたどり着いたものの・・・。
 
大スペクタクルで、唐の絶頂期の玄宗時代を再現する演出は、日本人には真似のできないチェン・カイコーならではの荘厳華麗な色彩の乱舞であり、それだけでも一見に値する作品である!空海と白楽天が、ホームズとワトソンのようにコンビとなり、楊貴妃の謎に挑戦する筋立てに、チェン・カイコーの日本人と中国人の友好を強く願う気持ちが籠った内容に好感を持つ作品となっていたのだ!
ぼくのチケット代は、2100円出してもいい作品でした。
星印は、3ッさしあげます。

5点満点中3点 2100円

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