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1917 命をかけた伝令

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   2020/02/18

衛藤賢史のシネマ教室

本年度アカデミー賞作品賞の最有力候補と予想されながら、「パラサイト」に取られたものの、3部門(撮影/録音/視覚効果)を受賞した作品だ。巻末に<祖父から聞いた話しを基にした>という表記が出るように、メンデス監督の祖父の一次大戦での体験をベースにしたものである。
第一次世界大戦<1914~1918>は、飛行機・大砲・戦車などの科学的兵器が駆使されヨーロッパの国々がふたつに分かれ国家同士が戦った、人類史上はじめての大規模な戦争であった(アメリカの参戦は1917、日本も日英同盟を結んだイギリス側の要求で地中海や中国でドイツと戦った)。一般市民も徴兵され死傷者の数も莫大で、両方の陣営は巨大な塹壕を敷設しながら疲弊していったので<塹壕戦>とも言われた悲惨な戦いだった。

1917年4月の事、フランス側に敷設された長大な塹壕に籠るイギリス軍の若き兵士スコフィールド(ジョージ・マッケイ)とブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)は、ブレイクの兄も含めた最前戦にいるイギリス軍1600人が、ドイツ軍の罠に嵌まり全滅しかけない状況にあると判断した指令部から、塹壕を抜け約20キロある前線をふたりだけで徒歩行し前戦指令部へその危険を伝達する伝令役を命じられる。スコフィールドとブレイクは、その最も戦死する確率の高い伝令兵として1600人の仲間を救うため、身を晒して複雑な地形の戦場を駆け抜けていくのだが・・・。

重要な役目を与えられた若きふたりの兵士が、最前戦を命を懸けて駆け抜ける様を、全編ワンショットというスタイルで撮影されたスタイルで撮影されたこの作品は、ふたりが味わう針が落ちる音さえ敏感に感じるような極度な緊張感と恐怖を観客である我々も否応なく体感させられていくのだ!一瞬の油断が死につながる戦場に我々観客もほうり込まれるヒリヒリする感情の純度の高いサスペンスと共に、その感情の共有によって殺戮しか存在しない戦争の愚かさ悲しさを強く体感させられる作品ともなっている秀作であった!
ぼくのチケット代は、2500円出してもいい作品でした。
星印は、5ッさしあげます。

5点満点中5点 2500円

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