中世イングランドの義賊としてのロビン・フッドの物語は、ヒーロー物のスタンダード版としてこれまで何回も映画化されてきたが、今回は現代的アレンジを加えてスタイリッシュな内容を満載する新たなヒーロー像として再生された内容となっていた。
中世イングランドの若き地方領主として暮らしていたロビン・ロクスリー(タロン・エガートン)は、何気ない生活を満喫する毎日を送っていた。ある日、自分の馬屋に忍び込み愛馬を盗もうとしたマリアン(イヴ・ヒューソン)という庶民の娘と恋に墜ちる。しかし州長官(ベン・メンデルソーン)の命令により十字軍の遠征に徴兵され、中東でイスラム軍と激しい戦闘を経験し死生観が変わる。4年後、帰国したロビンが見たものとは領地が州長官から没収され荒れ果てた屋敷だった。しかもロビンが戦死したという偽の情報で絶望したマリアンはウィル(ジェイミー・ドーナン)という反体制の活動家と結婚しているのを知る。すべてを失ったロビンの所にイスラム軍の最強の戦士であるヤキヤ(ジェイミー・フォックス)が現れふたりで組んで腐敗した協会や権力者に対しての反逆を開始する。頭巾(フッド)で顔を隠し、彼等が庶民から強奪した財宝を盗み、それを庶民にばら巻くロビン・フッドが誕生したのだ。さらに盗んだ財宝を気前よく権力者に献金したロビンは、教会や権力者に近づき彼等の腐敗を探り当て失脚させようと計画する。ウィルの反体制の活動の裏にある上昇志向に疑問を持ったマリアンも、ウィルから離れロビンたちと活動しはじめるが・・・。
御馴染みのリトル・ジョンがヤキヤというイスラム戦士であるなど、現代風アレンジを随所に加えたこの作品は、ロビン・フッドのファンがのけ反るような設定でのスタイリッシュな演出となっている。中東での戦いも現代風戦闘服であり、中世のコスチューム・プレイを楽しむつもりで見た観客も口をあんぐりとなるようなシーンを多用するなどの、思い切った脚色で挑戦したこの現代的発想のロビン・フッド物だったが、演出方法が荒っぽく少し雑な内容となっていた。シリーズ物として企画されているようだが、このままでは支持を受けるかどうかは疑問符がつく作品となっていたのだ!
ぼくのチケット代は、2000円かなと思う作品でした。
星印は、2ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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