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蜜蜂と遠雷

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   2019/10/08

衛藤賢史のシネマ教室

恩田陸の直木賞受賞作の長編小説を映画化した、クラシック・ピアノコンクールを巡る若者たちの挫折と再生を描いた清々しい若い世代の物語りとなっていた。

若きピアニストたちが集う芳ヶ江国際ピアノコンクールは、日本の地方のコンクールだが、ここを舞台に世界に飛躍する若者たちが続々と出てくることで国際的にも注目され世界から我こそはと思う若きピアニストたちが今回も500人以上エントリーしていた。その中に、かっての天才少女と謳われた永伝亜夜(松岡未優)がいた。ピアノの良き指導者であり亜夜の才能を誰よりも認めていた母を亡くしたショックからピアノが弾けなくなり音楽界から姿を消した彼女が、7年の時を経て20歳でエントリーしてきたのだ。また今は岩手の楽器店に勤務する高島明石(松坂桃李)も、家族の応援を得て最後の挑戦の覚悟でエントリーしている。優勝候補はアメリカからエントリーしてきたマサル(森崎ウィン)で、名門ジュリアード音楽院在学中の豊かな感性の天才と称されている。さらに突如出現した16歳の少年・風間塵(鈴鹿央士)は、その奔放な性格と演奏で審査員の注目を集める。
ピアノという武器での激烈な戦いがはじまった!
500人以上の若者たちは、一次予選・二次予選でふるい落とされ、最終本選に残るのはわずか6人という過酷な戦いに残るのは誰か?そんな中、塵という栄誉に関心がなくただピアノを弾くのが大好きという異質の天才の登場によって、亜夜・明石・マサルの自分たちの持つピアニストとしての立ち位置や音楽観をしだいに変えていくことになるのだが・・・。

クラシック音楽のコンペティションを扱った日本映画は、これがはじめてではないかと思うが、映像的によく消化された内容となっていた。恩田陸の長編をなかり削ぎ落とす作業はきつかったと思うが、コンペティションを中心に据えて、亜夜の挫折と再生に焦点を当てながら、亜夜を取り囲む明石・マサル・塵の心情や友情などが過不足なく納められた描写によって清冽(せいれつ)な印象を受ける作品となっていた。
ぼくのチケット代は、2400円出してもいい作品でした。
星印は、4ッさしあげます。

5点満点中4点 2400円

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