セレブなコラムニストであるジャネット・ウォールズが、自身の過酷な半生を赤裸々に綴ったベスト・セラー「The Glass Castle」の映画化作品である。その両親の生き様には賛否両論あるにせよ、子供たちへの純粋な愛情を貫く姿勢に強烈なインパクトを見る者に与える内容となっていたのだ!
1989年。NYに出てコラムニストとして成功した(ブリー・ラーソン)は、セレブでやさしい恋人との婚約も決まり、順風満帆な生活を送っていた。その帰り道のタクシーの前に飛び出したホームレスの男に遭遇する。なんとその男はジャネットの父レックス(ウッディ・ハレルソン)だった!ジャネットは家族との過去を回想しはじめる。レックスは誰にも束縛されない自由の生活を愛すると豪語していたが、仕事してもケンカばかりして、その日暮らしの生活をしている。妻のローズマリー(ナオミ・ワッツ)は画家と称しているが無名で生活能力がない。そんなふたりの間には3人娘と男の子の4人の幼い子供たちがいた。だからいつも極貧状態の生活で、空き家やオンボロ車で仮の暮らしを余儀なくされていた。しかしケンカはするがレックスとローズマリーの夫婦仲は睦まじく4人の子供たちへの愛情も深く、いつか皆に<ガラスの城>に住まわせてやるというレックスの言葉を素直に信じて、極貧の中いつもお腹を空かせながら4人の子供たちは両親を愛しつづけた。そんな他人から見たら絶句するような生活の中、次女のジャネットは、星座にも詳しく緻密な<ガラスの城>の設計図を終始描いているレックスが大好きで尊敬していた。
しかし、子供たちは成長し、そんな両親のいびつな生活を客観的に見ながら親離れする時期が訪れる。ジャネットも親に頼らずより高い次元を求めてNYの大学に入り、いつしか両親と不通となり自力でコラムニストとしての成功を見た時、レックスと遭遇したのだ。そして、ジャネットの取った行動とは・・・。
過去の回想と現在の生活をクロスさせながら、レックスとジャネットの愛憎に満ちた心を紐解いていくこの作品は、同時に親子の心の結びつきとは何か?と見るぼくらに問い掛ける強烈なメッセージをもつ内容となっているのだ。その心への問い掛けに答える解釈は様々に複雑な要素があるが、どんな境遇であろうと、親の子に対する深い無私な愛情に勝るものはない!と断言してくる迫力ある作品となっていたのだ!
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、4ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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