人気ブログから火がつき、20万部のベストセラーとなったKaOri(ttkk)のエッセイを、塚本連平監督がオリジナル脚本で映画化した作品である。
人口7500人の八丈島<現:東京都八丈町>に住む持丸かおり(篠原涼子)は、12年前に夫を亡くしてから、女手ひとつでふたりの娘を育ててきた肝っタマ母ちゃん!12年間、昼はお菓子工場、夜は居酒屋で働きつづけてきた。長女の若葉(松井玲奈)は、高校を卒業して八丈島で就職し自活生活して今は次女の双葉(芳根京子)とのふたり暮らし。しかし反抗期まっ盛りの双葉は、かおりと口も聞かず、必要なことは目の前にいるのにラインしてくる仲となり、頭がイタイかおり。双葉が高校入学の日にかおりは「私もあなたが嫌がることをします。あなたが態度を改めるまでね!」と宣言する。?と思った双葉だが昼休みの弁当を開けて絶句!なんと弁当の中身はクールを気取る双葉の大キライなキラキラのキャラ弁だったのだ。やり出したら徹底的にヤル!そのキャラ弁は毎日中身のキャラが違うものを高校3年間つづけることになったのだ。級友たちは「今日はどんな中身」と興味しんしん。双葉は弁当をあけるたび「ウザッ!」とつぶやきながら意地で毎日完食。そんな意地の張り合いを、これも親子の愛情のひとつとやさしく見守る長女の若葉。そんな中、ふたりの身に変化が現れる。かおるは毎日激務の中、早朝から頭を絞り作るオリジナル・キャラ弁をブログで発表してみたら大反響が起こり、妻を亡くし幼いひとり息子のキャラ弁の作り方を教えて欲しいとブログを通じて訪ねてきたデザイナーの岡野信介(佐藤隆太)と知り合う。そしてキャラ弁を通じて双葉に、八丈太鼓をしている同級生の山下達雄(佐藤寛太)が話しかけてきたのだ。胸キュンの双葉。将来の目的もなかった双葉は達雄が上京して八丈太鼓のプロになる夢を聞かされ、自分も都内での就活をする決心をする。そんな頃に働きすぎたかおりの体調が悪くなり・・・。
ふたりの娘の成長だけを楽しみに働く、気持ちいいぐらいまっすぐな性格のかおりを篠原涼子が好演し、双葉とのバトルをボケとツッコミ調の会話で盛り上げてくれる!母と子の温かなラブストーリーを描きたいとした、塚本監督の意図が明確に表現された作品となっており、その小粋なあそび心満点の演出が光る内容となっている!八丈島のロケーションもすばらしいのだが、かおりが作るキャラ弁の数々の紹介が白眉であり、かおりと並んで主役級の働きをしてくれるのだ!お勧めのできる作品でした。
ぼくのチケット代は、2400円出してもいい作品でした。
星印は、4ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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