講談社漫画賞(2017)を受賞した南勝久の人気マンガの映画化作品。<ファブル>と称される超人的な戦闘能力を持つ殺し屋の凄腕を巻頭シーンから炸裂させる内容となっている。
日米のヤクザとマフィアの協定の場所に突如ひとりの男が乱入し、アッという間に全滅させてしまう!ファブル(岡田准一)と称される伝説の殺し屋の仕業である。その後、ファブルは育ての親であるボス(佐藤浩市)から一年間仕事を休養し普通の人として相棒の女性(木村文乃)と暮らすよう命じられる。佐藤アキラ、ヨウコと変名し兄弟としてボスの知り合いの大阪の組織に預けられる。慣れない普通の日常生活に閉口しながら、まともな普通人を演じるふたりの珍妙な生活の中、チンピラに絡まれボコボコにされるアキラに同情した女性ミサキ(山本美月)と知り合いアキラ、ヨウコとミサキの三人の楽しい生活がはじまった。しかし、大阪組織の小島(柳楽優弥)というコテコテのヤクザが刑務所から出所し、風俗店を経営しようとミサキに目をつけたことからアキラ、ヨウコの日常生活が狂ってしまう。その大阪の組織で小島と対立する幹部(向井理)との争いが激化したのだ。ミサキをさらった小島を、その幹部がやとったファブルに対抗心をもつ若い殺し屋フード(福士蒼汰)たちが襲撃しミサキも連れ去られたのだ。一年間絶対殺しをしてはダメだ!もしそれを守らなければオマエを殺す!とボスから厳命されていたファブルは、誰も殺さずにミサキを助けるためヨウコと共に小島とミサキが拉致された現場に赴くのだが・・・。
岡田准一の超絶的体技の魅力を満喫させようとしたこの作品は、巻頭シーンから正確な銃撃による技を派手な演出で魅せることからはじまる。大阪の暮らしでは普通人の生活に悪戦苦闘する場面をコミカルに描き、一転してミサキを救助するためボスの厳命を守り誰も殺さずに岡田准一の体技を満喫させるクライマックスの大乱闘シーンで閉める内容となっているのだが、そのクエンティン・タランティーノ張りのB級テイストの味を楽しめるかどうかによって、この作品の評価は分かれる内容となっているのだ。
ぼくのチケット代は、1900円出してもいい作品でした。
星印は、2ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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