ピエール瀧の出演シーンを撮り直しせずに公開すると、製作会社の東映が発表しメディアを賑わした作品である。阿佐田哲也の同名小説を、和田監督が;84年に真田広之主演で発表した作品のリメイクであるが、小説を大胆にアレンジしており同一作品と思えないようなシュールな内容に仕上げている。
;45年の終戦直後の荒れ果てた日本で、プロ雀士としてアウトロー世界を生きる;坊や哲;(斎藤工)は、稲妻に当たり2020年世界にタイム・スリップしてしまう。が、この世界も戦いがあり、国民全部の額にマイナンバー・チップが埋め込まれた国家による過剰な管理社会と化してした。さらにAI導入がもたらした労働環境破壊によって荒れ果てた社会となっている。自分が置かれた状況が何が何だか分からない哲は、途方に暮れる。そんな哲を構ってくれたのは地下アイドルのドテ子(もも)だった。ドテ子は、怪しげな芸能プロ社長クソ丸(竹中直人)と同居している部屋に哲を入れる。しかしこの世界も麻雀があると知った哲は、ネットのゲーム麻雀に熱中する。この頃、東京オリンピックが戦いで中止され、要人たちは世界麻雀五輪大会を計画していた。ネット麻雀で上位の選手を、世界大会の日本代表選手にすると知った哲は、ネット麻雀で驚異的なポイントを叩き出し、一躍ヒーローとなる。一方AI業界もAIユキ(ベッキー)という最高頭脳をもつアンドロイドを開発し、世界麻雀大会への参加を狙っていた。その容貌は哲がいた旧世界の八代ゆき(ベッキー)とそっくり。哲は改めて自分が旧世界でしのぎを削っていた仲間を思い出す。ドテ子はただ麻雀一筋の哲のまっすぐな心に魅かれはじめる自分の心に困惑しながらも、哲を旧世界へもどす手立てを考えはじめる。そして、様々な思惑をひめた世界麻雀五輪大会がはじまるのだが・・・。
現代社会を痛烈に戯画化する構成を根っこに置いた内容と思うが、それがなぜ麻雀なのか?と見ながら思う作品となっている。また内容が混沌としたまま進むので、ぼくら観客も哲同様何が何だか分からない状況になり、何を言いたいのか、分からないままに見てしまうのだ。出演陣もテンションの高い演技に終始する中で、ドテ子を演じたチャラン・ポ・ランタンのももが昭和の匂いを感じる容姿と、素直な演技で印象に残った!
ぼくのチケット代は、、1700円ぐらいかなと思う作品でした。
星印は、2ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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