日本が生んだ「トランスフォーマー」シリーズのメイン・キャラクターであるバンブルビーを主人公にしたスピン・オフ作品。監督は日本を舞台にしたアニメ「KUBO/二本の弦の秘密」(16)のトラヴィス・ナイト。これが実写映画のデビュー作品だが、将来性を感じる小気味のいい演出ぶりで、魅力的な娯楽映画に仕上げていた!
舞台は1987年のサンフランシスコの郊外。18才を間近にひかえた少女チャーリー(ヘイリー・スタインフェルド)は、事故で亡くなった父が忘れられず鬱状態。そんなチャーリーが、仲良しの修理屋のオヤジから誕生日のプレゼントとして格安で黄色いフォルクスワーゲンを譲り受ける。チャーリーは亡き父の仕事であった修理を覚え結構腕がいいのだ。ボロボロのその車を修理中、突然それが黄色の金属生命体にトランスフォームしてしまう。びっくり仰天のチャーリーだったが、怯える謎の金属生命体のキュートな姿にチャーリーはバンブルビーと名づけ仲良しになる。実はバンブルビーは<トランスフォーマー>の戦士で、戦闘で声を失い地球に潜伏していたのだ。チャーリーは得意の修理でカーステレオを内部に注入し1980年代のヒット曲の歌詞でバンブルビーと意思疎通させる。ひょんな事からチャーリーに片想いの少年メモ(ジョージ・レンデボーグ・Jr)に、その秘密を知られるが、メモはチャーリーとバンブルビーの仲間になる事を約束する。地球すべての事が珍しいバンブルビーは、様々な失敗をしてふたりを悩ませるが、楽しい日々がつづく。しかし、その楽しさはいつまでも続かなかった。バンブルビーの存在をキャッチした敵方のトランスフォーマーが最強の刺客を地球に送り込んだのだ。バンブルビーは地球と仲良しのチャーリーを守るため、壮絶な死闘をするのだが・・・。
共に孤独な心のチャーリーとバンブルビーの友情を物語の軸として展開するこの作品は、すっきりとした構成となっており主人公のふたりに素直に感情移入させてくれる内容となっていた。バンブルビーの瞬間的変容などCG技術の進化に目を見張らせてくれるなどしながら、ユーモアとCG技術を画面に満載のだれが見ても楽しい娯楽作品に仕上げたトラヴィス・ナイト監督の達者な演出は、以降の作品に注目したい人材だ!
ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。
星印は、3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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