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衛藤賢史のシネマ教室

天才作家の妻~40年目の真実~

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   2019/03/12

惜しくもオスカー(主演女優賞:オリビア・コールマン「女王陛下のお気に入り」)を逃したもののグレン・クローズの迫力ある演技は必見物といっても過言ではない!

アメリカ・コネチカット州の自宅でイライラして待っていた現代文学の巨匠ジョゼフ・キャッスルマン(ジョナサン・プライス)のもとに、スウェーデンからノーベル文学賞を授与したいとの吉報の電話が入った。糟糠の妻ジョーン(グレン・クローズ)と自宅で友人や教え子を招きパーティを開いた席上でジョゼフは、ジョーンの内助の功を感謝するすスピーチを述べる。微笑みを浮かべてその言葉を受けるジョーン、だれが見ても仲睦まじい夫婦の様子である。晴れのノーベル賞の授賞式にふたりは、小説家志望の息子デビッド(マックス・アイアンズ)を伴ってストックホルムに赴く。機中でジョゼフの伝記を書こうとジャーナリストのナサニエル・ボーン(クリスチャン・スレーター)が近づいてくるが、ジョゼフはなぜか邪険に扱う。そんなナサニエルを気遣うジョーン。ストックホルムでのノーベル賞受賞者たちへのリハーサルがはじまる。色々とむつかしい形式があるのだ!そして物々しい待遇。それぞれへの専属カメラマン、豪華なホテルでのもてなしetc。その合間を縫ってジョーンはナサニエルとカフェに行く。ナサニエルは何かを知っている?ジョーンは感じる。そして同行したデビッドの荒れ方?不穏な気配が漂う中、しだいにジョゼフとジョーンの過去が明らかになっていく。そんな中、ジョゼフが授賞式で妻への感謝と賛美をコメントしたいと言うのを拒否するジョーン、彼女の心中で何がおこっているのか・・・?

1960年代の女性の社会的立ち位置の問題を内包させながら展開するこの作品は、過去と現代をクロスさせながら、しだいに判明する出来事を社会的<陰>としての妻=女性、<陽>としての夫=男性としての立ち位置から描写しながら、ノーベル文学賞受賞まで登りつめた天才作家の妻の目を通して、抜きがたい男女間の社会的格差を浮き彫りさせていく内容となっているのだ。重いドラマであるが、ビョルン・ルンゲ監督の重厚な演出ぶりと、グレン・クローズをはじめとする主要俳優の見事な演技によって、見応えのある作品となっていた!
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、4ッ半さしあげます。

5点満点中4.5点 2300円

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