1926年にA・A・ミルンによって発表された児童書「くまのプーさん」は、世界中の子供たちの愛読書となり現代にいたっている。そのプーさんと親友クリストファー・ロビンの後日譚を、ディズニー社が実写版として製作した作品だ。
はちみつが大好きなぬいぐるみのプーさん。100エーカーの森でティガー、ピグレット、イーヨーたちのぬいぐるみの仲間たちや、人間の少年クリストファー・ロビンと楽しく暮らしていた。しかし人間のクリストファー・ロビン少年だけは、ぬいぐるみの仲間と違い成長していき100エーカーの森から去っていく時期が来た。
それから数十年の歳月が過ぎ、クリストファー・ロビンは寄宿学校を経て二次世界大戦に出兵し、戦後はロンドンで会社員として働いていた。結婚をし、愛する妻と愛しい娘のため身を粉にして働く毎日。大人になったクリストファー・ロビン(ユアン・マクレガー)にとってもう100エーカーの森のことは頭の片隅にもない。その頃100エーカーの森から仲間たちの姿がなくなり、プーさんは去っていったクリストファー・ロビンに会うためにロンドンに現れた。首尾よく再会できるものの、クリストファー・ロビンは会社の営業成績の悪化で社員のリストラを命じられ悩んでいる最中だったが、プーさんと一緒に100エーカーの森に行くことになる。そしてティガーやピグレットやイーヨーたちを見つけてくれるのだが、会社のリストラ策への大事な会議が迫りロンドンへと帰っていく。急いだせいで大事な書類を忘れているのを見つけたプーさんたち仲間もロンドンへと駆けつける。
さあ、プーさんたちは書類をクリストファー・ロビンに渡すことが出来るのか?そして会社の再建策はうまくいくのか・・・。
実写版は原作どおりにプーさんをはじめ100エーカーの森の仲間たちの映像表現はぬいぐるみにしている。原作ファンにとってしっくりと馴染める親切な手法だと思う。クリストファー・ロビンを大人にすることで、少年時代の心の在り様の変化を描くことをサブテーマにしたかったと推察するが、残念ながらそこはあまりうまく表現しきれなかったと思う内容だった。
ぼくのチケット代は、2000円出してもいい作品でした。
星印は、2ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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