身長なんと1.5センチの超ミニサイズの体に変身して悪人を倒すという、今の映画技術ならでしか映像化できないニューヒーロー話しは、その奇抜な発想でヒットした。今回はそのシリーズの2作目の作品であり、前作より絡む相手を複数にして娯楽映画として楽しむことの出来る内容に仕上げていた。
バツイチ、無職で前科持ちのスコット(ポール・ラッド)は、ある事から驚異の;スーツ;を手に入れ、身長1.5センチの<アントマン>になったものの、少しやりすぎて今はFBIの監視下に置かれている。自宅軟禁のスコットの楽しみは幼い娘が訪問してくれ一緒に遊ぶことだけの生活。つまり家から一歩でも出れば即逮捕の身の上なのだ。そんなスコットを、アントマンの開発者ビル博士(マイケル・ダグラス)の娘のホープ(エヴァンジェリアン・リリー)が連れ出してしまう。ホープもアントマンに変身でき<ワスプ>を名乗るヒロインなのだ。そのホープがスコットを連れ出したのは量子空間で行方不明になっている母(ミシェル・ファイファー)を助けることが出来る研究が30年ぶりに分かり、そのためには量子空間に入ったことのあるスコットの助けが必要だったのだ。しかし、そこにその技術を狙うすべての場所をすり抜けられる謎の美女<ゴースト>と、その技術を盗み大金を儲けようとする武器ディーラーが絡んでくる。それぞれがまったく違う目的で、その技術を取ろうとする相手と、家からいなくなったスコットを逮捕しようと動くFBIからも逃げなければならない、ややこしい立場に立ってしまった、スコット・ホープ・ビル博士は果たしてその包囲網をくぐり抜け、量子空間で助けを待つ母を無事救出できるのか・・・。
ギャグとユーモアを満載させながら、超ミニサイズのヒーロー・ヒロインが縦横無尽に活躍するこのシリーズ作品は、今回はプレデターばりのあらゆる空間をすり抜ける訳ありのダークな敵役、こすっからい武器ディーラーとスコット逮捕に躍起になるFBIをパロディ仕立てにした設定で楽しい内容にしている。同時に、量子空間のサイケデリックな描写や、超ミニサイズになった空間描写などの、SFX特殊撮影技術も見応えがあり、娯楽映画として観客であるぼくらを十分に満足させてくれる出来になっていたのだ。
ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。
星印は、3ッさしあげたい内容でした。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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