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タイピスト

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   2013/10/22

衛藤賢史のシネマ教室

<タイピスト>という言葉は、現在のパソコン時代ではもう死語になってしまったが、1950年代の男性社会で女性が企業で活躍できるのはタイプライターで書類を早打ちするタイピストという秘書的役割の職種だったのだ。
フランスの片田舎に住むローズは、女性の花形職業である秘書になりたくて、雑貨店を経営する父親の止めるのを振り切ってパリに出る。ローズは一本指だけでタイプライターを打つ変則的スタイルだが、それで文字を打つスピードが驚くほど早い。意気揚々と保険会社を個人で経営するルイの会社を受けるが、肝心の秘書の仕事はからっきしダメなので不合格になりかかる。しかし変則スタイルだが猛烈な早さでタイプを打つ才能に着目したルイは、<タイプライター早打ち大会>に出場することを条件にローズを仮採用し、ルイの指導の下にタイプライターの早打ちの特訓を受けることになる。
まず10本指で打つスタイルへの矯正、難解な文学書のボキャブラリーを知りそれを早くタイプさせられる訓練など、早くタイプを打てればいいと思ったローズに知的教養や早打ち競技の駆け引きなど、奥の深いタイピストの基本を教え込む。
その強引な特訓に反発を感じる勝ち気なローズだが、その気持ちはいつしかルイへの慕情へと変化していく。ルイの期待する気持ちに応えようとローズは、次から次へとルイの繰り出す特訓に耐え、遂にフランス大会の決勝へと進む。相手はゴージャスな美女で秘書としても優秀、そしてタイプライター早打ちフランス・チャンピオンのアニー。
すっかり弱気になったローズは、ここまで来たら満足という甘えを見せるが、そんなローズの姿勢をわざと言葉で侮辱するルイ。カッとなったローズの闘争心に火がつく。
しかし、そのおかげで優勝したローズは時のスターとなり大手のタイプライター会社の専属に抜擢される。そんなローズにルイは自分の役割は終えたと別れを言う。
そして世界選手権の舞台へ。ローズの強敵は無敵アメリカ。愛するルイの手を離れたローズは世界チャンピオンを手中に収めることが出来るのか・・・・。
『マイ・フェア・レディ』をはじめとする名画のオマージュをふんだんに詰め込み、軽快なタッチで展開する、このサクセス・ストーリーは、男性社会の時代に自立精神を持つ若い女性の気持ちのいい生き方を描きながら、ノスタルジックな雰囲気に浸れる洒落た内容の楽しい娯楽作品となっている。
ぼくのチケット代は、2,200円出してもいい作品でした。
星印は、3つ差し上げます。

5点満点中3点 2200円

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