『幸せのちから』(06)に続くウィル・スミスとジェイデン・スミスの親子共演の作品である。今回はウィル・スミスが後見役に回り、息子のジェイデン・スミスを主役にして盛り立てるというSF作品となっている。
自分たちの犯した環境破壊によって地球に住めなくなった人間は、他の惑星に移住していた。そして地球を捨てた地球後暦アフター・アース(AE)元年2071年から1千年後のAE1000年、移住した惑星で<アーサ>という人間の恐怖心から発するフェロモンを察して襲い掛かる怪物に悩んでいた。ある出来事から恐怖心を持たなくなったサイファは、<アーサ>狩りの伝説の戦士として、<アーサ>と戦うレンジャーズ軍の司令官として絶大の信頼を得ている。息子のキタイは父にあこがれ、レンジャーズ隊員になることを強く希望していた。しかしキタイは、サイファが戦いに出かけ、家を留守にしていた時のある出来事のトラウマによって父とは精神的に距離を置いている。そんなキタイの心の心配をした母は、サイファに訓練旅行に期待を同行させるよう頼む。キタイのトラウマを心配するサイファは同行をしぶるが、妻の説得で承知し訓練旅行に連れて行く。しかし、2人を乗せた宇宙船は小惑星嵐で遭難し、かつて捨てた地球に墜落してしまう。生存者は重傷を負ったサイファと13歳のキタイだけ。緊急発信器を持つ船尾部分は100キロ先にあり、サイファは軽傷のキタイにその場所まで行かせることにする。
人間を寄せ付けないように進化した地球の環境と、隊員の訓練用に捕らえられた<アーサ>が生き残って布巾をうろついている中を、キタイはひとりで100キロの道を走破することになる。宇宙船に残ったサイファのリモートコントロールの機材からの指示により、キタイは未知の地球の厳しい自然環境と<アーサ>が遅いかかる危険を予想しながら孤独な旅を続けることにする…。
ストーリー構成から言うと、作り方さえ間違わなければかなりユニークな面白い内容になる話だと思うのだが、またもやシャラマン監督は間違えてしまった。親子の絆に重きを置き過ぎて、観客が観たいはずの壮絶な地球環境の描写などは、な~んだ当たり前の熱帯雨林じゃあないと思うし、出てくる動植物はけったいな感じの合成CGで怖くもなんともないのを大音響の効果で脅すだけ。全体にヒリヒリするような緊張感がまったくないのだ。そうなってしまうと、この作品はウィル・スミスが息子ジェイデン・スミス可愛さに必死で売り出そうとする宣伝映画じゃあないかと邪推したくなってしまう作品と化してしまっているのだ。
僕のチケット代は1500円ぐらいにします。
星印は2つかな。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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