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ローマでアモーレ

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   2013/07/16

衛藤賢史のシネマ教室

タイム・スリップを持ち込んで、パリの街の魅力を軽快に楽しく見せてくれたウディ・アレン監督が、今度は永遠の都市ローマに飛び4つのエピソードを絡ませながら<恋や名声>へのウィットに富んだ物語を紡いでいく作品だ。
まずエピソードその(1)はアメリカからローマの観光に来た若い女性ヘイリーがヴェネツィア広場で道をたずねたハンサム弁護士ミケランジェロとたちまち恋におち婚約してしまう。ヘイリーの父で元オペラ演出家ジェリーと精神科医の母フィリスはローマに飛んでくるが、ミケランジェロの葬儀店をしている父ジャンカルロがシャワーを浴びながら歌う美声にジェリーは大興奮。子供のことはそっち除けでシュールなオペラを企画しはじめる。その(2)、田舎育ちの純朴な新婚カップル、アントニオとミリーは親戚の斡旋でローマで仕事をすることになりホテルにチェックインするが、ミリーが理容店を探しにローマの街に出たことから、一人のアントニオの所へキュートなコールガールが入り込み片やミリーは道に迷って映画撮影現場に入り込み、憧れの俳優から誘惑され、あわやダブル不倫の危機になりそうになる。その(3)、有名な建築家ジャンが30年ぶりにローマを訪れ、かつて住んだことのある地区で建築家志望のジャックと知り合い、ジャックと恋人サリーが住んで暮らしているアパートに行くが、そこにサリーの親友で女優のモニカが転がり込んでくる。小悪魔的性格のモニカにジャックはいつの間にか心を奪われてしまう。ジャンは若い頃の自分を見るようでジャックに付きまとい警告するが、ジャックの心はここにあらずの状態。その(4)、ローマ在住の中年会社員レオポルドは平凡を絵に描いたような男。ある日、レオポルドに天地がひっくり返るような出来事が訪れた。大勢のマスコミが殺到し、一躍ローマで一番の有名人になる。有名人としてあらゆる特利を手にし、女性からモテまくり何が何やら分からないまま有頂天になるレオポルド。
空蝉のような<恋と名声>に翻弄されながら、ローマの街を迷走している4組のエピソードの男女群を縦横に入り混じらせながら語るこの作品は、『ミッドナイト・イン・パリ』での人間の現実逃避の心をタイム・スリップを軸にシンプルに描いた手法とは真逆に、当てどない迷い道に嵌まり込んだはずの4組の人間たちの心を、「ここはローマだ!そんなこと気にするなよ、なるようになるのが人間ってもんよ」と、ばかりに底抜けに陽気に交差点の見えない曲り道だらけの四つ角的錯綜をさせながら描いていく作品となっているのだ。
ぼくのチケット代は、2,000円を出してもいいかなと思う作品でした。
星印は、3つ差し上げます。

5点満点中3点 2000円

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