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パシフィック・リム

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   2013/08/13

衛藤賢史のシネマ教室

日本の怪獣映画やアニメの大ファンであるギレルモ・デル・トロ監督が、製作費200億円をかけて作ったハリウッド版怪獣映画である。
日本でのメディア宣伝が遅れたせいか、コアなファン以外にあまり認知度が浸透していなかったが、これはそのスケール感といい、内容といい一級品の娯楽映画となっているのだ。このG・D・トロ監督は、メキシコ人ですがスペインで撮った『パンズ・リビリンス』(2006)でスペインのアカデミー賞にあたるゴヤ賞を獲得し、アメリカでは『ヘルボーイ』(2004)を大ヒットさせた、芸術系、娯楽系どちらも撮れる国際的にも評価の高い名監督なのです!
その監督が『ゴジラ』などの怪獣ものと『マジンガーZ』などの巨大ロボット・アニメ物など、心から愛する日本の作品をベースにし、日本にたいするリスペクトの強い内容に仕上げているので、われわれ日本人としてはスカッとした気分で鑑賞できる作品となっています。
パシフィック・リム(環太平洋沿岸地域)の深い海溝から超巨大なKAIJUがサンフランシスコを襲撃、さらに環太平洋岸の大都市を次々に襲撃してきた。人類の存亡を賭けて世界中の人々が英知を結集し、超大型の巨大ロボット「イェーガー」を開発する。
この巨大ロボットに乗り込むパイロットはふたり、ふたりの心が完全にシンクロさせた時、人間とマシンが一体化しKAIJUに対等に立ち向かうことができる。
ロシア、中国、アメリカ、日本、パシフィック・リムの諸国が開発した巨大ロボットはKAIJUを撃退していくが、10年に及ぶ戦いで人類をあざ笑うように新手のKAIJUがパワーを増してつぎつぎと海溝から出現してくる。初期の戦いで相棒の兄を亡くしたローリーは失意でパイロットから離脱していたが、日本人研究者のマコとコンビを組み、旧型イェーガー<ジプシー・デンジャー>を修復して最終決戦へと旅立つ。はたして人類はこの謎のKAIJUを封じ込めることが出来るのか・・・・。
200億という予算のほとんどを特撮に注ぎ込んだかと思わせる撮影のスケール感。サブストーリーを含む内容での人間描写の丁寧さ、ユーモア感。そのふたつを見事に融和させた手腕は、さすがにG・D・トロ監督!と思わせる演出であり、特撮頼りの大雑把な作品とは一味違う、目の肥えた観客をも満足させる内容となっているのだ!
ぼくのチケット代は、2,300円出してもいいと思う作品でした。
星印は、3つ半差し上げます。

5点満点中3.5点 2300円

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