昨年、急逝したトム・クランシーの大ベストセラー小説のジャック・ライアン・シリーズはハリソンフォードなどの主演によって知られているが、今回は「スター・トレック」でブレイクしたクリス・パインを起用して、若きジャック・ライアンがCIA分析官となる誕生秘話を描いた内容となっている。
綿密な分析能力を持つJ・ライアンは、その能力を買われてCIAにリクルートされる。ライアンは事務屋として勤務するつもりが、突然モスクワに派遣される。それはライアンが株価の複雑な変動から分析して、ロシアの大富豪家の投資会社チェレン・グループがアメリカ経済の壊滅を狙ったサイバー・テロの可能性を解析したことによった。
派遣したのはライアンんを海兵隊時代から、その才能に注目しリクルートしたCIAのウイリアム・ハーパーであり、秘密工作員<エージェント>としての勇気・知力を兼ね備えていると判断したのだ。
モスクワに飛んだライアンは、ウォール街の金融マンとしての隠れ蓑を使い、ヴィクトル・チェレヴァンに接触を図る。大富豪家にして冷酷無比のチェレヴァンは、ライアンを警戒する。スパイ経験ゼロのライアンはチェレヴィンの策略に悩まされるが、バックアップするハーパーの協力を得て苦境を脱しようと図るが・・・。
イギリスの誇るシェイクスピア役者にして演出家であり、映画監督にして名優であるケネス・ブライナーが珍しくこのようなジャンルの監督を勤めるだけでなく、ライアンに対抗する敵役のチェレヴィンを貫禄たっぷりに演じている。
ただ、トム・クランシーの原案という形になっているので、ほぼオリジナルな内容になっているのがじゃ、弱点にもなっている。ひとつは、中心の内容が経済ウォーになっているのでヴァーチャル上の戦いとなり、このジャンルの作品として地味系になるのを恐れてむだな銃撃戦やカーアクションを多用するハリウッド典型的スタイルを使用する悪癖が出ているのが気になるところだ。
ぼくのチケット代は、2,000円だしてもいいと思う作品です。
星印は2つ半ぐらいかなと思います。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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