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WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~

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   2014/05/13

衛藤賢史のシネマ教室

三浦しおんの原作を読んだときに、こんな小説を映画にすると面白いのになあと思ったものだが、山奥の林業に従事する話などちょっと映像的には地味で無理かな、と考えていたら矢口監督で映画化という情報でワクワクして待っていました。
原作よりも多少デフォルメがありましたが、許容できる範囲の作品となっていました。
都会に住むチャランポランな生活を送っていた平野勇気は、大学受験に失敗し失意の中、街中で一年間の林業研修プログラムを見つけ、表紙の美女の写真につられ、ふらふらと応集してしまう。そして着いたところはケータイの電波も届かない山奥の神去村。マムシやヒルがウジャウジャいる山奥の村。都会しか知らない勇気にはまるで未知の日本。すぐに逃げ出そうとするが鬼のように怖い野性的男・飯田ヨキにしごかれ逃げるに逃げられず、泣く泣くとどまる羽目になってしまう。重い物はカラオケのマイクぐらいしか持ったことのないヘタレの勇気であったが、超過酷な太い杉の伐採、一山すべてに苗木を植える労働など毎日を繰り返すうちにだんだんと体力もつき働く喜びを感じるようになってくる。勇気が神去村に来る不純な動機となった表紙の美女・真紀とも知り合い、地獄のはずの林業の仕事、文明の何にもない田舎の生活に慣れていく。しかし、まだどこか都会っ子の尾っぽをつけている勇気に対して村人たちは一年間が過ぎれば、この村から去っていくお客人と思われていた。
さあ果たして勇気は、この林業の仕事に本当に溶け込むことが出来るのか?
「銀の匙」では北海道の農業高校に札幌からやってきた都会の若者の農業生活を描き、この作品では三重県の山奥で過酷な林業に従事するモヤシっ子の若者の成長譚を描くなど、大地に根を下ろしていこうとする若者の姿をユーモラスに描写する作品が続けて映画化されている。
この傾向は映画界にとって新たに見つけた新鮮なジャンルになると思う。
高度成長経済の嵐の中で日本は、ホワイトカラーを目指すのが若者たちの目標となり、大地に根を張って働く一次産業に従事する若者たちは敗者的な扱いを受けるようになってきた。それは間違いだと思う気運がこのような作品から発信されはじめたのは、すごくいい傾向であると思う。矢口監督もそう思ったからこそ、ある意味現代では映画化しにくい、この原作にチャレンジしたと考える。それをぼくは評価したいのだ!
星印は3つ差し上げます。

5点満点中3点 2100円

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