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エイプリルフールズ

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   2015/04/07

衛藤賢史のシネマ教室

4月1日(エイプリルフール)の日に、七組のメンバーたちがついた嘘から起こる大混乱の有様を描いたコメディ作品である。
七組のメンバーの人々が何らかの形で繋がるという構成を持つオムニバス形式の作品であるのだが、結果的にはそれらの相関図はきちんとした構成がなく、その場での思いつきのアイデアの感じが強く、七組のパート毎のシチュエーシヨンの連携が不備になり、内容的には消化不良の感じの強い作品となってしまっている。
この作品の中心のパートは、戸田恵梨香と松坂桃李との間で起こる、臨月の子の認知を巡る大騒動である<イタリアンレストランでの大惨事>であり、富司純子と里見浩太郎の高貴なご身分らしき夫婦が、庶民生活を楽しもうとする<ロイヤル夫妻の休日>と、寺島進と浜辺美波のヤクザと小学生の女の子の珍妙な道行きの<不器用な誘拐犯>のパートがそれにつづく核となる出来事になる。
残りの四組<占い老婆の真実><42年ぶりの涙の生還><僕は宇宙人><ある大学生の行末>は、最初の三組を囲う補助的内容となって、それぞれの七組が、目まぐるしく交錯し合いながら物語が進行していく。
脚本を担当した古沢良太は『キサラギ』(07)がすごくセンスのいい内容でぼくの大好きなライターであり、こういう群像劇の登場人物の仕分けに多大の期待を持って見たのだが今回はちょっとガッカリした作品となった。
その原因のひとつは、登場人物のキャラクター上の演技がなべて大仰であることだ。
これは演出した石川監督の責任かも知れないが、コメディ作品は内容そのものが笑えることを前提にしているのに、こんなに大仰な演技をされると笑うにも笑えなくなる。
さらにこれは脚本の責任になると思うが、他人を巻き込む迷惑を物ともせず突っ走るドライな内容を前半に置きながら、後半はへんにウェッ卜なお涙頂戴的内容に落としてしまう展開にされるとぼくら観客はついていけなくなるではないか!
ラストのオチも「こう来たか!」ではなく、「やっぱり、こう来たか」というオチではひねりもない。まあ今回はパートを無理に多くしたことで連鎖的なつながりに無理が多くなったのが原因と思われる作品であった。
ぼくのチケット代は、1,600円ぐらいかなと思う作品でした。星印は、2つさしあげます。

5点満点中2点 1600円

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