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   2015/04/21

衛藤賢史のシネマ教室

大阪市住吉区にある公立の大空小学校。この小学校の木村素子校長を中心として教職員すべてが共同しながら、区域のどんな子どもたちも受け入れ、すべての児童を同等に扱う学級教室の姿を取材した関西テレビのドキュメンタリー作品である。
昨年公開された『夢は牛のお医者さん』も優れた教育ドキュメントであったが、過疎の新潟の何人という児童数でなく、今回は220人の児童を抱える大空小学校が舞台となる。
住吉区内の児童数が増加したため2006年に新たに開校された小学校だが、「すべての子どもの学習権を保証する」という木村素子校長の理念に沿って、特別支援学級を持たずに、すべての子供たちが平等に同じ教室で学ぶシステムをとる。
そして目指すのは<不登校ゼロ>の学校であり、「みんながつくる、みんなの学校、大空小」の校訓のもと、全員を普通の児童として扱い、各学年の学級担任の教員は配置するが色々な問題に関しては担任責任の垣根をとっ払い、校長を含めて全教員が問題解決のため共同して努力するようにしている。さらに保護者・地域の住民にも協力してもらい子どもたちを見守りながら、児童たちがごく自然に全員が仲間であるという意識を植えつける教育が重要な目的ともなっている。
その中には、入学時に「あの子が行くのなら、大空小はやめとこう」と噂された6年のカズキや、「少しでも長く通える学校に」と考え校区内に引っ越してきて4年に編入してきたセイシロウ、「すぐキレて乱暴になる」と前の学校からの申し送りとともに3年に編入したユヅキなど、特別支援の対象になる児童が30人ほど在校しているが、児童たちはお互いに地域の仲間として扱いながら付き合っている。
その意識をしっかりと植えつけることが学校教育の目的であることが、大人である教員や地域住民の態度によって見るぼくらは流れの中で理解していく。
木村校長も決してやさしいだけの態度でなく、子どもたちが間違いを犯せばドヤ顔で叱る、大人とて間違いを正すための責任から叱っている、ということが子どもたちの心にわかれば反省する。その心根を全教員が共有してよろこぶ、そこに教育の根底がある。木村校長が言う「児童たち個々人の心の成長は個人差があるのは当たり前である。出来る子を100とすれば、成長の遅い子は10かもしれない。しかし、10の子が20になれば間違いなく成長したと考える。それをよろこぶのが教育であり、そのために努力するのが学校教育である」と。ぼくはその考えが教育の本質であると思う。
ぼくのチケット代は、2,400円出してもいい作品でした。
星印は、5つ差し上げます。

5点満点中5点 2400円

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