マーベル・コミックの『アイアンマン』『ハルク』『マイティー・ソー』『キャプテン・アメリカ』のヒーローたちが集結して地球を制圧しようとする悪人に立ち向かうという『アベンジャーズ』のこの第2作は、第1作と比べてはるかに楽しくみられる内容となっていた。やはり、これだけの腕を持つヒーローたちが苦戦する巨大な敵役でないと、ハラハラドキドキする展開にはならないので、今回はその意味において成功したと思う。大実業家にして、自分が開発した最強スーツを身にまとい悪と対決するアイアンマンことトニー・スタークは、天才科学者でありながら人体実験により、心に激しい怒りの感情を抱くと凶暴な緑色をした巨人・ハルクに変貌するブルース・バナーと協力して地域の平和を守るため「スターク」社が作り上げたロボットに意識を持つ人工知能<ウルトロン>を植え付ける実験をする。それは悪の秘密組織ヒドラの基地をつぶす作戦の際、ヒドラが開発した双子の超人で妹のワンダのテレパシー攻撃で、アベンジャーズと地球上の人類が宇宙からの敵にいずれ滅ぼされる、という将来の出来事を予知されたからだ。
だが平和維持の目的のためだけで作られたロボットは、人工知能を持っても愛の感情はない合理的思考のみの平和=平穏の感情であり、平穏を守るためには敵を殺傷するアベンジャーズのメンバーや人類をも、この地球上からなくしていいと考える諸刃の剣のような思考をしてしまった。さらに<ウルトロン>の知能は独自に自らの進化にも手を染めはじめる。よかれと思った実験に失敗したトニー・スタークとブルース・マナーらは命を懸けて<ウルトロン>と対決しようとするが、人知を超えた勢いで進化を続ける相手になすすべがない状態となる。しかし、アベンジャーズのメンバーはこの最大の危機に再び集結して立ち向かう決心をする。愛するメンバーをそして人類を守るという人間の<愛>の感情をあらわにして。だが<ウルトロン>の強さはアベンジャーズのメンバーを持ってしても防ぐのは容易ではなかった、そして…。
ヒーローたちが結集しても勝つのは容易でない<ウルトロン>という敵を作り出した今回の内容は、ヒーローたちと敵の真っ向勝負という娯楽作品の醍醐味を十分に堪能できる仕上がりを見せてくれた。と同時に、アベンジャーズのヒーローたちが、それぞれいい場面での腕の見せ所がきっちりと描かれた内容となっていて楽しい作品となっている。ぼくのチケット代は、2,200円出してもいいと思う作品でした。
星印は3つ差し上げます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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